今日の日本の音楽制作の一般的なイメージは、市場のニーズに応え、社会的な規範に則った表現パターンを再現するために、フォーマット化された若い演奏家グループによって支配される産業というものである。しかし、戦後のロックに続き、20世紀後半には、支配的文化や政治的権威、社会的な枠組みとの緊張関係に富んだポピュラー音楽の歴史が展開されるようになった。本講演会では、サイケデリック・ロック、フォーク、演歌、パンク、ノイズなど、規範的なモデルに異議を唱え、距離を取りながら展開してきた音楽について取り上げる。 


講師:

中條 千晴
東京外国語大学客員講師。ポピュラー音楽とジェンダーを専門とし、日本における音楽産業の女性化について研究する。 


ジェレミー・コラル
東京外国語大学で現代日本音楽史を教える。主な研究は、社会的・文化的な機能を通じた、音楽的・音響的実践の分析。

ブルーノ・フェルナンデス
即興音楽家、日本のカウンターカルチャーの歴史を専門とするインディペンデント研究者。出版社Presses du réelにおける、 20世紀日本のカウンターカルチャーを扱う「Délashiné!」シリーズ代表。




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写真:©MICHAEL ROUGIER/THE LIFE PICTURE COLLECTION/SHUTTERSTOCK